劣化したリチウムイオン電池を簡単に低コストで見分ける方法

劣化したリチウムイオン電池を簡単に低コストで見分ける方法

劣化が近づいてきたり、異常があった、電池は”発熱しやすくなる”という特性があります。
”発熱した電池は、機器に使用せず廃棄してください。”という注意書きを見たことがある方も多数おられると思います。
今回はその特性を逆に利用して、発熱している電池を検知し、発熱履歴を簡単にユーザーに知らせて、電池の劣化を見分ける方法を紹介します。
発熱している電池を発見できれば、高い確率で発火や爆発を防げると言っても過言ではないでしょう。
コストも1箇所につき0.5円程度なので、ぜひ、実践してみてください。

こちらの動画で、そのメカニズムや実験の様子を収めました。動画で確認したい方はご覧になってください。

リユースのリチウムイオン電池でパワーボックスを作ろうと思っていて、簡単な劣化電池の発見方法があればな、と思い、ずっと考えて編み出した手法です。
この手法なら、定期的な点検時に、道具無しで目視で異常をいち早く見つけられます。


1.この手法の重要性

電池温度は劣化や危険を知る上でとても重要なファクターです。

電池の温度が70℃あたりになると徐々に正極材と負極材の間のセパレータが縮み始め、内部短絡が加速して、発火、熱暴走などの危険な状態になると言われています。

なので、電池の危ない予兆である温度70℃の前に反応して、異常温度上昇の履歴を使用者に認識させることがとても重要であると言えます。
私達は”65℃”という温度がは通常使用ではなることがないけど、異常を知る上のラインの一つになるのではないかと結論づけました。


2.この手法のメリット

一番のメリットは0.5円という驚異的な低コストと、手軽さです。

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マスキングテープとフリクションライトというペンだけで実践出来ます。

また、この手法の最大のメリットは発火や熱暴走につながる電池をいち早く気付けるというところにあると思います。

電池一本一本だけでなく、電池パックの外装にこの手法を使っても、良いでしょう。
電池に直接、この手法を用いるのが一番
充電時や放電時の異常発熱履歴をユーザーに視覚的に知らせるので、使わない手はありません。


3.実践方法

18650電池単体の場合を例に上げて、その手法の実践方法を解説します。

① リチウムイオン電池にマスキングテープを貼る。

②フリクションライトを塗る。

以上です。

とても簡単で小学生や女性でも難なく施工出来ると思います。

水がかかったり、摩擦が考えられることはそうないと思いますが、そういったことが原因でフリクションライトを塗った部分が擦れるなどして色が見えなくなる可能性がある場合は、セロハンテープなどで塗った面を保護してください。
退色の心配がなくなります。


4.劣化電池の見極め方

このフリクションライトは、65℃付近になると色が透明になります。

放電したり、充電したり、使用していく中で、マーキングした箇所が透明になると、65℃以上の温度になったという証拠になります。

つまり、そのリチウムイオン電池が異常だと見分ける事ができる。というわけです。

このように発熱した電池は色が消えて、見分けることができる

!!注意!!
この方法を施工したから劣化電池による事故を100%防げるわけではありません。色が透明になっていないかの定期的なチェックが必要です。
また、劣化進行が急激な場合には、熱暴走まで一気に行く可能性もあり、そういった場合はこの手法では防ぐことは出来ません。
あくまで劣化電気を発見出来る一つの方法としてご参考ください。


5.放電時に温度上昇しないか?

リチウムイオン電池ユーザーであれば、急激に放電すると、電池温度が上がって反応するんじゃない? と思う人もいるかと思います。
私が知る限りでは、18650電池に限っては放電レート2CをMAXとして放電する機器がほとんどかと思います。
ISOLAでもEサイクルで使っているバッテリーではMAX1.25C程度でBMSがシャットダウンするようにしています。

放電時の温度を実験している豊橋技術科学大学の資料へのリンクを張っておきます。
これはネット上で公開されていました。

このデーターを元にすると、2C放電でDOD80%まで放電したときの電池温度は60℃程度です。

65℃までには届きません。

これはあくまで18650の新品でのデーターになりますので、劣化してくれば、 内部抵抗があがるので、もう少し少ない電流でも温度は上がる可能性はあるかもしれません。

しかし、それは劣化してきているという何よりの証拠です。

また、2Cでの放電は劣化が早まるので、ほとんどの機器では、ほぼ使用しない放電の仕方です。
こういったことを総合的に考えると、65℃というのは通常ではあまり届かない温度と言えるでしょう。

また、18650電池のデーターシートを確認すると、ほとんどの18650電池の使用環境温度の上限が、60℃になっているので、 メーカーとしても、60℃程度が使用する環境温度の上限だとしているところから、 65℃という電池温度は気づいておくべき異常温度のラインだと思います。

一応、メーカーのデーターシートのリンクを張っておきます。

ICR18650データーシート(RSコンポーネンツ)

NCR18650B(http://www.batteryonestop.com/)


6.コスパ計算

一本あたりのコストはこんな感じです。
マスキングテープを1cm、フリクションライトを200本分使えると仮定した場合で計算してみました。
マスキングテープなどは手持ちの人もいると思います。

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1本あたりのコストは。。。
0.03+0.45=0.48円


まとめ

  1. リチウムイオン電池の劣化電池をみつけるためには、パイロットのフリクションライトと、マスキングテープで発見することが出来ます。
  2. フリクションライトは65℃で反応するので、劣化電池の発見には使えます。
  3. 対象の電池にマスキングテープを貼って、フリクションライトで色を付けるたけです。透明になったら、異常電池と判定します。
  4. コストも汎用品を使用するので、1箇所につき0.5円程度です。

また、上記のフリクションライトを使う手法は低コストで、なおかつ作業時間がほとんどいらないため、このフリクションライト法で見分ける方法をベースにして、リユース電池を運用して行こうと思っています。

ぜひ、みなさんも実践してリチウムイオン電池ライフに役立てて見てください。


今後

今後、この手法をベースに、リユースセルの集合体で大きな容量の電池を作っていこうと思っています。

電池一つ一つを確認できるような透明な蓋などにしておけば、日常点検で劣化に気づきますね。

また、この手法をいろんな電子部品の故障の予測に利用したり、異常をわかりやすくユーザーに知らせる電池ケースへの活用などに活かしていきたいと考えています。

2件の返信

  1. […] この方法について詳しくは、こちらの「劣化したリチウムイオン電池を簡単に低コストで見分ける方法」のブログに書かれているので、ご覧ください。 […]

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